※この記事は、2026年8月に自分のローカル環境でAI動画制作を試した記録です。特定の生成モデルやAI動画全般の限界ではなく、今回の素材と制作方法で起きたこととして書いています。
少し前に、AI動画を30秒までつないでみたものの、動きの連続性が作れなかったと書きました。
短い動作は生成できても、キャラクターが歩く、触る、嫌がる、別のキャラクターが割って入る、といった流れになると、前後の因果が崩れてしまう。
そこで一度、生成AIだけで動きをつなぐ方法を外しました。
固定した背景とキャラクター素材を使い、位置やタイミングは2Dキーフレームで動かす。生成AIは素材や短い反応を作る側へ戻す。
前回の記事では、ここまでを書きました。
ただ、その後に続きを作ってみると、2Dキーフレームへ移せば解決するほど簡単でもありませんでした。
特に止まったのが、歩く動きです。
4枚の歩行ポーズを並べても、歩いては見えなかった
最初は、歩行用のポーズを4枚用意しました。
前足と後ろ足の位置が入れ替わるように並べ、キャラクター全体を少しずつ移動させれば、最低限の歩行には見えると思っていました。
しかし、実際に再生すると不自然でした。
一部の脚は動いているのに、別の脚はほとんど同じ位置に残っている。
ポーズは変わっているのに、重心が前へ移っていない。
歩いているというより、姿勢を切り替えながら横へ滑っているように見えました。
次は、脚をいくつかの領域に分け、キーフレームで個別に動かす方法も試しました。
こちらは全ての脚を動かせましたが、今度は脚の付け根に三角形の隙間が出ました。
動きを増やした代わりに、キャラクターの形が壊れてしまったわけです。
生成AIで歩行を作る方法を諦め、2Dへ移した。それでも歩行で止まる。
このまま別のポーズを作り直し、脚の分割方法を変え、隙間を埋めていくこともできます。
ただ、そこで一度考え直しました。
今回の場面で、本当に必要なのは「正しい歩行を見せること」なのだろうかと。
必要だったのは、歩行ではなく「来たこと」が伝わることだった
物語の中で必要だった情報は、キャラクターが画面の外から対象へ近づいたことです。
脚の運びを見せること自体が目的ではありません。
視聴者に、
誰かがいない場所へ、
キャラクターが現れ、
対象に気づき、
近くまで来た、
と伝われば、場面としては成立します。
そこで、連続した引き画の中で歩かせるのをやめました。
まず、誰もいない場所を引きで見せる。
次に、画面の端から顔を少しだけ出し、何かに気づいたことを寄りで見せる。
その後、対象と同じ画面に入った状態を見せる。
最後に、対象の近くまで来た引き画へ切り替える。
画角が変わる間に移動を省略すれば、脚を無理に動かさなくても「見つけて近づいた」という流れは読めます。
歩行の問題を解決したわけではありません。
歩行を正面から見せなくても、必要な情報が伝わる構成へ変えました。
救出場面も、連続動作ではなく必要な瞬間へ分けた
同じ考え方は、後半の救出場面にも使いました。
もともとは、別のキャラクターが状況に気づき、歩いて近づき、しっぽをくわえ、踏ん張って引っ張る流れを連続して見せようとしていました。
ところが、近づく動きは横滑りに見えます。
接触前後の姿勢を変えると、しっぽの位置や体の大きさまでずれます。
引っ張る側と引っ張られる側を別々に直すほど、接触しているはずの場所が離れて見えました。
そこで、ここも連続動作を作るのをやめました。
状況に気づく場面。
しっぽへ接触した状態。
口元の寄り。
踏ん張って引いている姿勢。
対象から離れた後の画。
必要な瞬間をそれぞれ成立させ、編集で順番につなぎました。
一連の物理動作を正確に再現したわけではありません。
それでも、何に気づき、どこへ接触し、どう状況が変わったのかは、以前より読みやすくなりました。
28秒を19秒ほどに短くしたら、足りない動きも見えやすくなった
連続動作を残していた確認版は、約28秒ありました。
カットを組み替えた試写は、約19.6秒まで短くなりました。
最初は、短くなると説明不足になるのではないかとも思いました。
ただ、成立していない歩行や接近を長く見せるより、必要な瞬間だけを置いた方が、場面の意図は追いやすくなりました。
仮の効果音も、動きを増やすためではなく、カットの間を確認するために入れています。
気づく直前に小さな音を置く。
接触した時刻に柔らかい音を置く。
引っ張る場面には、短い音ではなく少し続く布の音を置く。
映像だけでは飛んで見える箇所について、音の始まりと終わりを置き、どこまでをひとつの動作として見せたいのか確認できる形にしました。
もちろん、これで完成ではありません。
映像も音も内部確認用です。動きが省略に見えるのか、単に場面が飛んだように見えるのかも、まだ調整が必要です。
AIが苦手な工程を別の方法へ移すだけでは足りなかった
今回、最初は生成AIの苦手な動きを2Dキーフレームへ移しました。
これは間違いではなかったと思います。
位置、大きさ、タイミングを自分で固定できるようになり、生成し直すたびに別の動きになる問題は減りました。
ただ、担当を変えるだけでは解決しない部分もありました。
生成AIで歩けない。
では2Dで歩かせる。
2Dでも不自然なら、もっと細かく脚を動かす。
この流れを続けていると、「歩行を実装する」という最初の要求から離れられません。
今回必要だったのは、別の道具を探すことより、要求をひとつ上へ戻すことでした。
なぜ歩かせたいのか。
視聴者へ何が伝われば、その場面は成立するのか。
そこまで戻ると、「正しい歩行」ではなく「来たことが分かる編集」でも目的を満たせると気づきました。
これはAI動画以外でもありそうです。
AIに出力を直させ続けても進まない時、別のモデルや別のツールへ渡す前に、そもそも何を伝えたかったのか、何が確認できれば合格なのかを言い換える。
同じ要求を別の手段で実装し続けるより、目的を残して要求の形を変えた方が進むことがあります。
今回できたのは、歩行ではなく逃げ道だった
今回の試写で、自然な歩行を作れたわけではありません。
複数キャラクターが接触し、力を伝える動きも、物理的に再現できたわけではありません。
できたのは、それらを正面から見せなくても、話の流れが読める構成へ変更することでした。
最初は、作れない動きを見せないのは逃げのようにも感じました。
ただ、成立していない動きを長く残すより、必要な情報が伝わる形へ作り直す方が、少なくとも今の自分には現実的でした。
AIで作れないものが出た時、すぐに性能不足と決めるのでも、同じ指示で作り直し続けるのでもなく、何を見せたいのかまで戻って考える。
今回のAI動画制作では、その考え方が一番効きました。
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