AIに渡す話は、これまで何度か書いてきました。
AIに知識を渡す。
ObsidianをAIが読みに行く場所にする。
音声メモを文字起こしして、AIに渡せる形にする。
大量の資料を、評価軸ごとに分けて渡す。
どれも、AIに何を材料として渡すかという話でした。
ただ、最近もうひとつ別の問題を感じています。
それは、AIに渡す材料そのものではなく、AIが作業を始める前に読む前提をどうそろえるかです。
毎回、
「このブログはこういう方向です」
「Obsidianにはこういうフォルダがあります」
「投資判断そのものはブログにしません」
「公開前には関連記事やタグも見ます」
「最近はネタ出しが新規ログに寄りすぎないようにしています」
と説明し直していると、地味に重い。
しかも、人間の説明は毎回少しずつ変わります。
昨日は言ったけど、今日は言い忘れた。
前回は強調したけど、今回は省いた。
自分の中では当然だと思っていたけど、AIには伝わっていなかった。
こういう小さなズレが、AIの返答にも出てきます。
だから最近は、AIに毎回同じ説明をするくらいなら、最初に読む入口ファイルを作っておいた方が安定するのではないかと思っています。
今回の話は「AIに渡す材料」とは少し違う
先に、今回の記事の位置づけを整理しておきます。
これまで書いてきた「AIに渡す系」の記事は、主に材料の話でした。
たとえば、音声メモをAIに渡すなら、文字起こし後に仕分けルールが必要だった。
これは、素材をどう整えるかの話です。
AIに大量の資料を渡すなら、最初から結論ではなく評価軸に分ける必要があった。
これは、資料をどう分解して渡すかの話です。
ObsidianをAIが読みに行く場所として使っている。
これは、AIに読ませる情報をどこに置くかの話です。
今回の話は、そこから少しずれます。
何を渡すかではなく、AIが作業を始める時に、最初にどの前提を読むか。
つまり、AIへの引き継ぎ書の話です。
人間同士の仕事でも、毎回口頭で説明するより、最初に読む資料があった方が早いことがあります。
「この案件ではここを大事にする」
「これはやらない」
「ここは必ず確認する」
「判断に迷ったらこの順番で見る」
そういう前提がまとまっていると、作業の立ち上がりが早くなる。
AIでも、かなり同じことが起きている気がします。
毎回説明すればいい、は思ったよりしんどい
AIはかなり賢いので、毎回説明すればそれなりについてきてくれます。
でも、毎回説明する運用には限界があります。
まず、説明する側が疲れます。
ブログの本線。
公開してよい話題と、まだ寝かせる話題。
投資や仕事ノウハウをどう扱うか。
Obsidianのどこを見ればよいか。
最近の公開済み記事との重複をどう避けるか。
こういう前提を、毎回チャットの最初に書くのは面倒です。
しかも、急いでいる時ほど説明が雑になります。
「いつもの感じで」
「前回と同じように」
「ブログ向けに」
こう言いたくなる。
でもAIから見ると、その「いつもの感じ」が何なのかは、今の会話だけでは分かりません。
過去に何度も話していたとしても、別のチャットや別の作業環境では、同じように引き継がれているとは限らない。
ここが、人間の感覚とAIの実運用でズレやすいところだと思います。
自分の中ではつながっている。
でも、AI側にはつながっていない。
この状態で作業を頼むと、AIの返答は悪くないけれど、微妙に自分の運用から外れます。
入口ファイルは、AIへの自己紹介ではなく作業の前提表に近い
最初は、AIに自分のことを覚えてもらうためのファイルを作る感覚でした。
でも実際に使ってみると、これは自己紹介というより、作業の前提表に近いと感じています。
たとえば、入れておきたいのはこういう情報です。
- このブログで扱いたい主なテーマ
- 扱う時に注意したいテーマ
- 公開しない方がいい情報の種類
- Obsidian内の主な置き場所
- inbox、raw、workbench、topicsの役割
- ネタ出し時に見るべき場所
- 既出記事との重複を避けるルール
- UP版にする時に必要なセット
- 自分が最終判断として握る部分
逆に、何でも入れればいいわけではありません。
日記の細かい内容。
一時的な感情。
まだ外に出せない具体的な仕事の話。
投資判断そのもの。
未確認のニュース。
こういうものまで入口ファイルに詰め込むと、AIが毎回読むには重くなります。
入口ファイルに入れるのは、自分の全部ではなく、作業に入るための最低限の前提でいい。
ここを勘違いすると、ただの巨大な自己紹介ファイルになってしまいます。
「どこを読めばいいか」が決まるだけで、AIの返答は安定しやすい
入口ファイルがあると、AIに頼む時の言い方が少し変わります。
以前なら、
「最近のブログ状況を踏まえて、今日のネタ出しをして」
と頼んでいました。
でもこれだと、AIがどこを見ればいいのかが曖昧です。
今なら、
「入口ファイルの前提を読んだうえで、blog_ideasとinboxと最近の公開済み記事を見て、今日のネタ出しをして」
と言いやすくなります。
この違いはかなり大きいです。
AIに期待するのは、勘で空気を読むことではありません。
どこを読めばよいか。
何を重視すればよいか。
何を避ければよいか。
どの判断は人間に戻すべきか。
このあたりを先にそろえることです。
入口ファイルは、そのための案内板になります。
完璧な答えを出すための魔法のファイルではありません。
でも、毎回ゼロから説明する手間を減らし、AIが見に行く場所をそろえる効果はかなりあります。
最近のネタ出しのズレも、入口ファイル側に戻した方がよさそうだった
今回この話を書こうと思ったのは、最近のネタ出しでも似た問題が出たからです。
新しい話題の方が目立つ。
だからAIも、直近のログからネタを拾いやすい。
でも、過去ログの中にも、今なら記事にできる話があります。
自分としては、そこも拾ってほしい。
ただ、これを毎回口で説明するのは少し面倒です。
「新しいログだけでなく、過去ログも見て」
「既出記事との重複も確認して」
「投資判断そのものはブログ候補から外して」
「AI活用の本線に戻せるものだけ候補にして」
こういうルールは、その場のお願いではなく、入口ファイルや判断ルールに戻した方がいい。
そうしないと、次のチャットではまた同じズレが起きます。
AIとの作業で大事なのは、失敗した返答をその場で直すことだけではないと思います。
なぜズレたのかを見て、次からズレにくい前提へ戻すこと。
入口ファイルは、その戻し先にもなります。
実際には、スキルと入口ファイルを一括りで使っている
ここで少しややこしいのが、スキルとの関係です。
自分は、ブログ整理やinbox整理などをスキル的な流れで動かしています。
たとえば、
「Inboxの整理をお願いします」
と言えば、長いログはrawへ寄せる。
育てる素材はworkbenchに置く。
再利用できる判断軸はtopicsへ回す。
ブログ候補はblog_ideasに残す。
こういう流れで動くようにしている。
これはかなり便利です。
なので、実際の使い方としては、スキルと入口ファイルを毎回分けて意識しているわけではありません。
「整理して」
「今日のネタ出しをして」
「UP版にして」
と一括りに投げています。
その方が自然です。
毎回、
「まず入口ファイルを読んで、その後このスキル相当の手順を使ってください」
と細かく言っていたら、結局また説明が増えてしまいます。
ただ、内部で効いているものは少し分かれています。
スキル的な部分は、作業手順です。
何を読むか。
どこへ移すか。
どういう形で出力するか。
どのファイルを更新するか。
一方で入口ファイルは、その作業手順を動かす前の全体前提です。
今のブログの方針。
最近気をつけていること。
公開判断で避けたいこと。
過去ログも見るべきこと。
どのファイルが入口なのか。
こういうものを入口側に置いておくと、一言で頼んだ時でもズレにくくなります。
自分の感覚としては、
一言で投げる。
でも裏側では、入口ファイルで前提をそろえ、スキル的な流れで作業を進める。
この形が一番しっくりきています。
だから、スキルと入口ファイルを別々の道具として毎回使い分けるというより、まとめて「いつもの整理」「いつものネタ出し」を成立させるためのセットとして見た方が近いです。
入口ファイルは完成品ではなく、使いながら育てるものだと思う
入口ファイルを作るといっても、最初から完璧なものを作る必要はないと思います。
むしろ、最初から完璧を目指すと止まります。
最初は、最低限でいい。
このブログの主テーマ。
今見てほしいファイル。
公開前に注意したいこと。
扱わない方がいいテーマ。
よく使う作業の流れ。
このくらいでも十分です。
あとは、AIとのやり取りの中でズレた時に戻していく。
「最近のネタ出しが新規ログに寄りすぎる」
と思ったら、ネタ出し時は新規ログ、過去ログ、既存シリーズの3枠で見るというルールを追加する。
「関連記事がリンク付きになっていない」
と思ったら、関連記事は貼り付け用HTMLではリンク化するというルールを追加する。
「タグの末尾にカンマがほしい」
と思ったら、タグ出力の形式を更新する。
こうやって、毎回の不満や修正を入口や手順に戻していく。
これができると、AIとの作業は少しずつ楽になります。
一発で完璧なプロンプトを作るより、ズレたところを次回の前提に戻す方が、自分の運用には合っている気がします。
まとめ
AIに渡すものは、本文や資料だけではありません。
作業を始める前の前提も、AIに渡す必要があります。
これまで自分は、AIに渡す材料をどう整えるかを何度か書いてきました。
でも最近は、それとは別に、AIが最初に読む入口ファイルの重要性を感じています。
毎回同じ説明をするのは重い。
しかも、その説明は毎回少しずつブレます。
だったら、ブログの方針、Obsidianの置き場所、公開時の注意点、ネタ出しの見る順番、既出チェックのルールなどを、入口ファイルとして持っておく方が安定する。
AIに覚えてもらうというより、自分が前提を管理して、必要な時に渡す。
この考え方の方が、今の自分には合っています。
AI活用は、強いプロンプトを毎回考えることだけではない。
毎回渡す前提をそろえることも、かなり大事なのかもしれません。
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