AIに仕事ノウハウを渡すなら、手順より先に「考える順番」を分ける必要があった

AI活用

仕事で覚えたことを、AIに渡せる形にできないかと考えることが増えています。

ブログを書いている流れもありますし、Obsidianにメモを残す流れもあります。
さらに最近は、仕事で身につけたノウハウを、AIに読ませるメモや補助資料のような形にできないかとも考えています。

ただ、ここで少し引っかかりました。

仕事ノウハウをAIに渡すといっても、単に作業手順を並べればいいわけではない。

むしろ、手順だけを渡すと、かなり薄いものになりそうです。

本当に渡したいのは、作業の順番そのものではなく、その前にある考え方なのかもしれません。

どこを見るのか。
何を危ないと感じるのか。
どの順番で確認するのか。
どこで止まるのか。
何を見たら「このまま進めるとまずい」と判断するのか。

このあたりを分けないと、AIに渡しても表面的な手順書で終わってしまう気がしました。

今回は、その話を整理しておきます。

仕事ノウハウは、手順だけにすると浅くなる

仕事のノウハウを言語化しようとすると、最初に出てくるのは手順です。

まずこれを見る。
次にこれを確認する。
この順番で作業する。
終わったらここを確認する。

もちろん、手順は大事です。

初心者に何かを伝えるなら、手順がないと動けません。
「いい感じにやって」と言われても困ります。

ただ、仕事で本当に差が出るのは、手順の前後にある判断だと思います。

同じ手順を知っていても、危ないところに気づける人と気づけない人がいます。
同じ道具を使っていても、無理な進め方を避けられる人と、そのまま突っ込む人がいます。
同じ図面や資料を見ていても、先に段取りが浮かぶ人と、目の前の作業だけで止まる人がいます。

この違いは、単純な手順書だけでは伝わりにくい。

AIに仕事ノウハウを渡す時も、ここが抜けると浅くなる気がします。

まず分けたいのは、安全を守る話と考える力を育てる話

今のところ、自分の中では仕事ノウハウを二つに分けた方がよさそうだと感じています。

一つは、安全を守るための話。

もう一つは、仕事を組み立てるための考え方です。

この二つは似ているようで、少し違います。

安全を守る話は、まず最低ラインです。

危ないことをしない。
止めるべきところで止める。
確認せずに進めない。
体や道具や周囲を危険にさらさない。

これは、作業者として絶対に必要な土台です。

一方で、仕事を組み立てるための考え方は、もう少し上の話になります。

なぜこの順番でやるのか。
どこを先に確認すると後が楽になるのか。
どの条件なら別の方法を考えるのか。
何を見た時に、いつもの手順では危ないと判断するのか。

ここまで来ると、単なる手順ではなく、判断の型になります。

AIに渡すなら、この二つを混ぜない方がよさそうです。

安全の話をしているのか。
判断の話をしているのか。
作業手順の話をしているのか。
熟練者の見方を分解しているのか。

ここを先に分けておかないと、AIの出力もぼやけます。

熟練者が見ているのは、作業そのものだけではない

仕事に慣れている人は、手順だけを見ているわけではありません。

たぶん、もっと手前を見ています。

たとえば、

  • この作業はどこが危ないか
  • どの順番でやると無理が少ないか
  • どこで確認を入れるべきか
  • いつものやり方で通していいか
  • 何か違和感がないか
  • 後工程で困ることがないか

こういうものを、かなり早い段階で見ています。

本人は当たり前にやっているので、わざわざ言語化していないことも多いです。

でも、初心者にとってはそこが一番分かりません。

手順は聞けば分かる。
でも、どこを見て判断しているのかが分からない。

ここをAIに渡せる形にするには、作業内容をそのまま書くだけでは足りないと思います。

「この作業では、最初に何を見るのか」
「何を見たら止まるのか」
「何を見たら別の方法に切り替えるのか」
「どの失敗が一番危ないのか」

こういう形に分ける必要があります。

AIに渡すなら、暗黙知をそのまま渡さない

AIに仕事ノウハウを渡す時、危ないのは「自分は分かっているから」で済ませてしまうことです。

自分の中では当たり前でも、AIには当たり前ではありません。

それは以前から何度も感じていることです。

AIは優秀ですが、こちらの現場を勝手に知っているわけではない。
渡していない前提は分かりません。
曖昧に渡せば、曖昧な答えになります。

仕事ノウハウも同じです。

「この作業のコツをまとめて」

だけだと、AIは一般的な手順や注意点を出してくれると思います。

でも、それでは自分が本当に渡したかったものとはズレるかもしれません。

必要なのは、たぶんこういう分け方です。

  • 作業の目的
  • 絶対に守る安全上の注意
  • 最初に見るポイント
  • 判断に使う材料
  • よくある失敗
  • 止まるべき条件
  • 慣れている人が見ている違和感
  • 初心者に最初から任せない範囲

ここまで分けると、AIもかなり扱いやすくなるはずです。

単なる手順書ではなく、判断の流れとして渡せるからです。

自動化に慣れすぎると、考える部分が抜けることがある

もう一つ、少し気になっていることがあります。

便利な道具や自動化された環境に慣れすぎると、考える部分が育ちにくいことがあるのではないか、ということです。

これはAIにも近い話です。

AIに聞けば答えが返ってくる。
便利な機械が補正してくれる。
システムがある程度、間違いを防いでくれる。

それ自体は悪いことではありません。

むしろ、便利なものは使った方がいいと思っています。

ただ、最初から全部が整った環境だけで覚えると、なぜそうするのかを考えないまま進んでしまうことがあります。

この時に怖いのは、道具がないと判断できないことです。

なぜその順番なのか。
なぜそこを確認するのか。
なぜその作業が危ないのか。
なぜいつものやり方ではまずいのか。

ここを考える経験がないと、応用が効きにくい。

AIで仕事メモを整理する時も、便利な答えだけを渡すのではなく、考える順番を残した方がいい気がします。

AIに渡す資料にするなら、答えより問いを残す

仕事ノウハウをAIに渡せる資料にするなら、完成した答えだけを作るより、問いを残す方が大事かもしれません。

たとえば、

  • 最初にどこを見るか
  • どこが危ないか
  • 何を確認してから進めるか
  • どの条件なら止まるか
  • どこで別の方法を考えるか
  • 初心者に任せていい範囲はどこか

こういう問いです。

AIに答えを作らせることはできます。

でも、仕事で人を育てるなら、答えだけ渡しても足りない。

考えるきっかけが必要です。

これは、最近のブログ運用とも少し似ています。

AIに「いい感じの記事を書いて」と頼むより、何を分けるか、どこまで任せるか、何を確認するかを決めた方がうまくいく。

仕事ノウハウも同じで、AIに「いい感じにまとめて」と丸投げするより、先に考える順番を分けた方がよさそうです。

公開するなら、中身そのものより分解の型を出す

仕事ノウハウをブログにする時は、注意も必要です。

会社固有の情報。
危険な作業の具体手順。
実際の図面や条件。
客先や製品が分かる話。
安全講習の代わりになってしまうような説明。

このあたりは、そのまま出すべきではありません。

だから公開するなら、具体的な中身そのものより、分解の型を出す方がよさそうです。

たとえば、

「AIに仕事ノウハウを渡す時は、安全、手順、判断、違和感を分ける」

という話なら書けます。

「熟練者が何を見ているかを、AIに渡せる問いにする」

という話も書けます。

これなら、仕事の中身を出しすぎずに、AI活用の実運用メモとして残せます。

むしろ、自分のブログの流れには合っていると思います。

AIに任せる前に、任せる単位を決める。
AIに大量資料を渡す前に、評価軸を分ける。
AIに仕事ノウハウを渡す前に、考える順番を分ける。

全部、同じ話につながっています。

AIに渡す前の分解力が、たぶん一番効いている

最近ずっと感じているのは、AI活用で大事なのは、強いプロンプトだけではないということです。

もちろん、プロンプトも大事です。

でも、それ以前に、

何を渡すか。
どの単位で渡すか。
何を分けるか。
どこまで任せるか。
どこを自分で確認するか。

ここがかなり効いています。

仕事ノウハウも同じです。

手順をそのまま渡すのではなく、安全、手順、判断、違和感、考える順番に分ける。

そうすると、AIはただの文章作成ツールではなく、暗黙知を整理する相手になります。

まだ形にするには慎重さが必要です。

特に仕事の話は、出していいことと出してはいけないことを分けないと危ない。

それでも、方向性としてはかなり面白いと思っています。

AIに仕事を教えるというより、AIに渡すために、自分の仕事の考え方を分解する。

この作業自体が、かなり大事なのかもしれません。

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